的中を安定させるための「早気」の直し方

弓道で矢所が安定する人の特徴は、「会」でじっと的の方を見つめ、時が止まっているかと思うほどに体が動かないこと。
この充実した「会」が10秒以上あるのが理想です。矢筋に一直線に伸び、無駄な力が完全に抜け自然と「離れ」が訪れるという感覚。
まあ理想はそんな感じなのですが、これがなかなか難しい!
初心者が射場に立って弓をひくようになってそこそこ的中するようになってくると、この「会」の時間が1秒とか2秒とか、極端に短くなる傾向があります。これを「早気(はやけ)」と言います。早気になると狙いがうまくとれず、せっかく射型がキレイであっても的中が安定しないということに繋がります。
今回は早気の原因とその直し方について書いていこうと思います。
早気の原因とは
早気の原因は諸説ありますが、私の思う早気の原因は4点あります。
早く当てたい気持ち
的に当たるようになってくると、早く離して的に当てたいという欲求が出てくるようになります。
弓道の的は矢が刺さると「パンッ」といい音がなるのですが、この音を早く聞きたいがために早気になってしまうのです。
会のポジションがわからない
初心者にありがちなのですが、どこまで引いた状態が会なのかわからないため引ききる前に離してしまうなんてことがあります。
また、引ききれていても会で伸びている方向が間違えているんじゃないかと不安になってきて、適当なところで離してしまうというパターンもあります。
馬手が摘んでいる
馬手の人差し指と中指の親指へのかかりが浅く、摘むような形になっている。
こうなると手先に力を入れざるをえなくなるため、長く会を維持するのが難しくなります。
弓が強すぎる
単純に弓の強さが合っていない。
弓が強すぎれば引いてくるのがつらくなり、会で腕がプルプルしてしまいます。
プルプル状態ではいくら会を持ってもなめらかな離れは出せないため、むしろ早く離したほうが当たりが良いくらいです。
早気の治し方
早気の原因に対するそれぞれの治し方は以下のとおりです。
当てることを目的にしない
当てるために引いていると早気は直りにくいです。弓道は当てるのではなく、正しい射型で会を充実させれば自然と当たるのです。
早く離してしまっても当てられなくはないので「さっさと離して当てればいいや」と考えがちなのですが、そもそも当てることを目的にせず会で矢筋に伸び続けるだけの練習を行うと良いです。
引ききった状態から会をカウントする
自分では会の状態になっているつもりでも、傍から見たら全然引きが浅いなんてことがあります。
人に見てもらうか動画を撮るなどして自分の会の状態を確認しましょう。そして会に完全に入ってから秒数をカウントすることで、どれくらいの時間キープするのか身体に覚えさせます。
馬手の形を見直す
弓を引いているとき、弓手はよく見えるのですが馬手は見えないため、自分が思い描いていた手の形と違ったということが多いです。
これも人に見てもらうか動画に撮って、指がしっかり曲がった状態で引けているか確認しましょう。
弓を弱くするか筋トレする
弓が強いと感じたら、ちょっと弱いかな?と思うくらいの弓を使ってみましょう。弓道は特に強い弓を使わなければいけないということもないので、変に見栄をはらず自分にとって無理のない弓を選びましょう。
強い弓を使いたいのであれば筋トレあるのみですね。
早気のせいで負けた試合
私が高校一年のときに初めて望んだ地方大会、通称秋の新人戦。
めずらしくその日は当たりが伸び、8射7中。他の選手で同じく7中だった選手が二人いたため決勝の射詰(いづめ)を行うことに。(射詰とは選手が一本ずつ矢を射ち、外れたものから脱落していく試合方式)
はじめの一射。私はなんとか的の端に当てることに成功!一人が脱落し、1対1に。
この射詰に勝てば優勝という場面、私は当てたいという焦りから会0秒で離してしまい矢は明後日の方向へ。あえなく二位となってしまいました。
早気によって負けてしまった苦い思い出です。
大抵早気の人は大会で負けることになりますので、悔しい思いをする前に直していきましょう。
まとめ
弓道で早気に悩む人は本当に多いです。
メンタルが原因のこともあれば身体の使い方の問題まで、人それぞれ改善するところが変わってきますので、練習方法を工夫して矯正していくといいですね。
強豪校であれば深い会を身につけている選手がほとんどです。強者の風格を得たければ早気は絶対に克服しなければですよ。